この投稿は、
電動化ウェビナー「電動油圧ポンプを用いた電動化システムへ向けた
躍進」に基づいています。
ウェビナーのリンクはこちら。discover.parker.com/electrified(英文)
機器のサイズと選定データ
Q: この移行を行う場合、どのような機器サイズと選定データが必要ですか?
A: いかなる油圧アプリケーションにおいてもアクチュエータで必要な速度と力を得るためのポンプ流量と圧力を決定する必要があります。ポンプの吐出流量と圧力が決まるとそれに必要なポンプ形式と適切な押しのけ容積を選択することができます。次に、このポンプトルクをまかなうモーターサイズが決定します。モータが選定され、動作電圧が決定したら、システム全体を適切に駆動制御するインバータを選定します。
アプリケーションの優先項目
Q: アプリケーションとその優先項目について何を知る必要がありますか?
A: 電気システムへの移行において、アプリケーションの稼働条件を理解することが不可欠です。例えば、住宅地で使用されるアプリケーションにとって、騒音は非常に重要な要素です。この場合、騒音は交渉の余地がなく、効率はトレードオフになるかもしれません。アプリケーションが1シフトまたは2シフト稼動し、8時間または16時間充電することができる場合には、バッテリーの稼動時間はそれほど重要ではありません。油圧による作業機能を最小の騒音で行うために電気油圧システムを選択する場合もあります。
逆に、遠隔地で作業するバッテリー駆動の林業用車両では、稼働時間が最も重要な要素となります。林業機械は1日16時間稼働し、夜間に4時間急速充電してから再び始動する必要があることもあるでしょう。遠隔地であるため、騒音は重要な要素ではありません。この場合には、より高いシステム効率を達成するためにコンポーネントを選択することができ、コンポーネントの騒音レベルを心配する必要はありません。
鉱山アプリケーションのシステム設計においてはダウンタイムは非常にコストがかかり、重要な要素です。電動による作業機能は、バッテリー駆動によるハーネスや電源ケーブルを使って繋がれていることがほとんどです。鉱山の採掘音は大きく、効率とノイズの優先順位は低くなります。堅牢で長寿命、TCO(総所有コスト)が最も低い電気油圧システムを選択した方が良いでしょう。
可変容量ポンプの目的
Q: モーターの回転数を変えられる場合、可変容量ポンプの目的は何ですか?
A: 可変速モーターに可変ポンプを採用する目的は、バッテリーサイズとモーターサイズの両方を小さくすることです。負荷サイクルの大半を低流量、高圧で運転するようなアプリケーションは作業保持アプリケーションとなります。このような作業用途では可変容量ポンプが有力な採用候補となります。
電動油圧システムのサイズを決める際に、最高負荷サイクルを考慮して、ポンプを駆動するモーターのサイズを選定することが求められます。油圧トルクは、作動圧力と流量に直結します。固定容量ポンプの場合は、必要となる最高圧力と流量で発生するトルクを処理できるようにモーターのサイズを選定します。負荷サイクルの大半が低流量で高圧であるアプリケーションに可変容量ポンプを採用する場合、ポンプは吐出量調整しながら高圧を維持します。ポンプ流量を少ないままに圧力要件を満たすためモーターに必要なトルクは低くなります。その結果、モーターのサイズを小さくすることができ、貴重なスペースを節約できます。結果的にバッテリーからの電力要件も削減できるため、同じバッテリーでより長い稼働時間を実現する、もしくはバッテリーを小型化してシステムの総コストを削減することができます。
Q: 共有できる例はありますか?
Hydraulic Pump and Power Systemsは、地域の政策より、住宅環境で使用する掘削機作業用の油圧回路の小型化とポンプ選定の依頼を受けました。機械はシフト制で積極的に稼働することができ、すぐに充電が可能です。しかし、住宅に近いため騒音が重要で、サイズも重要でした。その結果、機械は現場に簡単に運べるよう軽量である必要があります。
既存の内燃機関システムは、125L/minの流量と275barの圧力を必要とするオープンセンター油圧システムです。電動システムのサイジングは、ICEシステムと非常によく似ています。私たちは、これらの圧力と流量の要件に対応できるポンプを選定しました。
ePumpのサイジングに関しては、固定容量斜軸ピストンポンプと可変容量ピストンポンプの2つのタイプが候補となりました。ソリューションを満たす要求仕様において、斜軸ピストンポンプと可変容量ポンプはどちらも必要な流量と圧力を達成することができます。次に、採用、選択するための他の要素を検討しました。その結果、斜軸ピストンポンプは、優れたピーク効率によって差別化できることがわかりました。高流量領域では、より優れた効率と、より簡単な制御を実現しました。可変容量ポンプでは小型化により設置面積を小さくできました。可変容量ポンプは、圧力とサイズ要件を切り離すことができるため、モーターを小型化することができます。さらに、最も静かに駆動する性能を得るために、最適な回転数と吐出量を見つけ最適化することができます。
Parkeの解析ツールによって、この特定の駆動サイクルに必要な電力がほぼ同じであることがわかりました。さらに、選択した両ポンプは他のタイプに比べて本質的に高効率であるため、効率の面でこれらのポンプに突出した差はありませんでした。
結果的に、大きさと騒音低減の両方から、可変容量ピストンポンプを選定しました。エネルギー消費に関しては、装置オペレータが個々の作業サイクルでどのように使用するかによって大きく影響される可能性があります。効率は重要な要素でしたが、大きさと騒音を優先し、可変容量ポンプが最適となりました。
適切なエンジニアリング・パートナーの選択
Q: このような変更を行おうとする場合、エンジニアリング・パートナーには何を求めるべきでしょうか?
A: さまざまなポンプ技術を使った幅広い製品オプションを持つサプライヤーを選ぶことが必要です。最適な技術を選択し、いくつもの提案を備えている企業を選択する際には、多くのトレードオフが必要です。適切なエンジニアリングパートナーを選択することで、アプリケーションに最適なコンポーネントを選択することができます。さらに、サブシステム一式を提供できるパートナー、つまりポンプ技術、電動モーター、インバーターを持っているパートナーと組むことが有利です。これらすべてのコンポーネントを同じ供給元から指定することは、それらがシームレスに連携して動作するようにテストされ調整されていることを意味し、エンジニアリング設計の時間とコストを削減するのに役立ちます。
ポンプやモーターへの大きな加速度、高回転、頻繁な始動停止を考えると、パートナーの評価試験設備能力は重要です。アプリケーションのパラメータに基づいた徹底的なテスト、パートナーの評価試験能力は、選択されたコンポーネントがそのアプリケーションに対して最適であるという確証を得ることができます。
エンジニアリング・パートナーはお客様のアプリケーションにおいて最大ピーク効率、ノイズ低減するための複雑なアルゴリズムについて議論でき、それを達成するために何が必要かを理解する能力があるべきです。
強力な分析と顧客の成功には製品をサポートする設計とデータを持つエンジニアリング・パートナーが不可欠です。モーターやポンプのサイズやタイプには競合する技術がたくさんあります。効率や性能を分析し、実現可能な選択肢をいくつか提案できることは、良いスタートとなります。パーカーには、システムを選択するのための幾つかの分析ツールがあります。顧客の要求仕様に合わせてモーター、インバーター、ポンプの効率をシミュレーションし、ポンプ効率マップを生成することもできます。
パーカーは、アキシャルピストンポンプと可変容量アキシャルピストンポンプの電動モーターとの構成において、最適な回転速度、圧力、流量によるルックアップテーブルを生成することができます。さらに、顧客にとって重要な評価要素となる他のポンプとのエネルギー消費量、モーターサイズや電圧を比較するパラメータマップを生成することもできます。
結論として、油圧ポンプ、電動モーター、インバーターを適切にマッチングさせることが、フル電動化システムへ移行するための鍵となります。パーカーのようなお客様のアプリケーションの仕組みを理解し、サイズ、ニーズ、テストに基づいて適切なシステムコンポーネントを選択してくれるエンジニアリングパートナーを選ぶことが、電動化の成功につながります。